XLIFとは、損傷している椎間板を取り除き、骨を器具で固定して、脊椎の安定性を高める手術方法です。神経を直接触らないため、脊柱管内の神経に対し安全性が高く、さらに、出血が従来に比べ非常に少なく、体への負担が少ない手術方法です。日本では平成25年から承認され実施されています。背部に3cmの切開が2ヵ所と側腹部に約3cmの皮膚切開(皮切)で手術を実施します。この手技の最大の利点は神経を直接触らないで神経を圧迫から解除する事にあります。側腹部に約3cmの皮切から内視鏡を設置して、脊髄モニタリングにて神経を避けながら椎間板内に人工骨を移植します。その後、背部の約3cmの皮切から固定術を行います。対象となる疾患は、腰椎変性すべり症、腰椎変性側弯症、腰椎後弯症、腰椎分離(すべり)症の一部などです。原則、手術翌日より起立・歩行を開始します。入院期間は最短で約7日程度ですが、病態により異なります。また手術後は硬いコルセットを装着します。
XLIFは全国でも限られた医師と医療機関でのみ実施されており、米国でXLIF専用の手術研修を受けて認定医となる必要があります。また手術には安全性確保のため、XLIF専用の脊髄神経機能のモニタリング装置が必要です。
椎間板高の復元により年齢とともに曲がってバランスを失った脊柱配列(側弯や後弯)を正常バランスに回復することができます。
身体の側方から小さな切開で手術を行うので、背中側の筋や神経に触れず、手術の傷による術後の痛みが軽減できます。また、背筋を痛めることによる後遺症状の軽減が期待できます。
傷んですり減った椎間板の高さを復元することにより、軽度から中等度の狭窄症であれば背中から直接的に行う神経除圧術を行う必要が有りません。この事により術中の脊柱管内神経障害や、術後の硬膜外血腫(神経の周りの出血)の発生を抑える事が出来ます。
椎間板に従来の脊椎固定術よりも大きなケージを設置することができるので、術後の症状再発が少ないです。さらに、術後の安定性が増し、骨がつくのが早くなることが期待されます。
術後の安静期間はなく、1-2日間ほどでコルセットを装着し起きることが可能です。